朝からごめん。

さっき起きて、嫌な話を聞いた。


あたしの父さんは、頑固者です。

でも、曲がったことは大っ嫌いで、ボランティア精神があって
ヤクザみたいな顔して、すごく優しくて。

義理と人情を重んじる、古風な男です。

そりゃぁ、頑固なあたしとぶつかるんは、しょっちゅうやけど
いい男やってことは、ちゃんと分かってます。


あたしは、小さいころから人に裏切られることに慣らされて。
人を容易に信じたらいかんって、学習した。

やけど、父さんは50歳になっても心が綺麗なままでした。

昨日、ライヴから帰ってから父さんが言った意味深な言葉たち。
酒飲んで、また訳分からんことよんや思っとって。

気付いてあげれんで、ごめんね。


あたし誰か傷付けられたって、そんなもんどうにでもできるよ。

でもなぁ、自分の大切な人傷つけられるんは我慢ならん。
ほんまに、ほんまに、めっちゃ腹が立つ。


どうしても、そいらを一発殴らな気が済まんくて

「父さんを裏切った奴ん所に行って来る」

って言ったら、母さんに止められた。


父さんは、今まで人を一生懸命信じてることしか
知らんくて、今回の裏切りには相当傷いっとるけど
でも、こんなことで喧嘩しようなんて思ってなかったみたい。


昨日の夜の疲れきった笑顔。

めちゃくちゃ痛い。


殴らんでもええけん、あいつに土下座さしたい。

ほんまに怒りがおさまらん。


でも、父さんがそれを望んでないけん。
あたしは黙って、今回のことを見過ごす他ない。

なんでこんなに無力なんでしょう。

ほんまに、こんな自分に嫌気がさすわ。



父さん、ごめん。守ってあげれんくて。

ほんまに、ごめん。



でも、もしあいつらと何処かですれ違ったら

精一杯自分の感情を押し殺せるよう、頑張るけど
何してしまうか、自分でも検討がつきません。

そのときは、今よりもっとごめんね。








強くなりたいです。
大切なもの1つぐらい、ちゃんと守れるように。